■審査員 |
審査員長 村松友視 氏(直木賞作家)
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■審査委員長 総評 |
進化のうごめきのとき
第20回という節目を迎えた「愛するあなたへの悪口コンテスト」だが、これまで生まれてきた数々の名作にかえて、今回さらに新たな光彩を与える作品スタイルが生まれはじめている…そんな心強い手応えを、うれしく感じさせられた。
とくに大賞となった「11月なのに夏日だった 夫が私の服を褒めた 何かが狂ってる」は、これまでにない作品のスタイルがあざやかな作品で、言葉の選択や配列や放ち方の見事さによって、微細なけしきと壮大なけしきの、手品のような結び付け方を成り立たせてくれた。大小の異変と“何かが狂ってる”という不気味さの提出の中に、夫に自分の服を褒められたことへの、渋みにみちた妻らしいよろこびが、ひそかにまぶされている。“悪口”的衣の中に“愛”をくるみ込む見事な手さばきが心憎かった。
この大賞の出来栄えが印象的であったが、ほかにも重層的な色彩をはらんだ作品が多く、当たり外れはともかくとして、選考という作業の中で読み解く快感を与えられたものだった。その意味で、今回は爆発的インパクトにみちた快作というより、単なる地味で片付けられぬ仕上がりに挑むいくつかの作品に出会うことができた。どうやらこの賞、第20回という大きな節目をバネとして、さらなる進化のうごめきをくりひろげてくれそうなけはいだ。
私は選考の過程において、作品を読み解くことの快感を何度も味わった。それは、作者の意図からずれた読み手による特権的興奮による、勝手な解読に酔っていただけのことかもしれないという反省もないではないが、作品にそそのかされたその酔い心地が捨てがたいものであるのはたしかだった。そしてその独特の酔い心地の原点は、あきらかに“愛”と“悪口”という異物の合体を基本的ルールとする、「愛するあなたへの悪口コンテスト」が与えてくれた、誇るべき成果であるにちがいないのである。
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■お問い合せ |
〒427-0022 静岡県島田市本通三丁目6-1
(地域交流センター歩歩路内)
(株)まちづくり島田
「愛するあなたへの悪口コンテスト」
実行委員会
TEL.0547-33-1550 FAX.0547-33-1565 |
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■大 賞 |
11月なのに夏日だった 夫が私の服を褒めた
何かが狂ってる |
PN ルーク(東京都八王子市)
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■準 大 賞 |
「むこうのじいじに買ってもらう」 |
PN 天秤座の孫(愛知県一宮市)
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■島田市長賞 |
器が小さいと醒めるのも早いわね |
渋谷 良美(東京都昭島市)
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■入 賞 |
別々のデイサービスへ行き、同じ家に帰る。 |
PN もものたね(埼玉県さいたま市)
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生き甲斐は野良猫の名付け親 |
大島 桂子(埼玉県白岡市)
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ポチもタマも毎日同じものを食べていると 君は言う |
PN ポワロ(埼玉県深谷市) |
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「覚える気がないなら聞くな!」と娘 |
相野 正(大阪府堺市)
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■島 田 賞(島田市在住の方対象) |
妻は留守 俺はひとりを楽しんで
外出は明日に延期す |
渡辺 美保子(静岡県島田市) |
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■高校生審査員賞 |
「パパ、忖度ってどういうこと?」
「ママのごはんは世界一ってことだよ。」 |
PN ガブリータ(東京都江戸川区)
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■スクール大賞(小・中・高生対象) |
あなたって柿のように実るのが遅いよね |
PN 山田淳生(島田工業高校)
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■スクール賞(小・中・高生対象) |
父の日 私「パパにプレゼント買う?」
ママ「無駄遣いしたくないなぁ」 |
PN まよきち(京都府京都市立大薮小学校)
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スイミング検定前
うるさくアドバイスしてくるパパは泳げない |
PN まよきち(京都府京都市立大薮小学校)
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いつまでも沈むことのない父が放つ頭の光 |
PN たかくだよ(静岡県立相良高校)
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仕事着で、茶わん持ちながら眠る母 |
田形 登来(静岡県立島田工業高校)
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(第20回応募総数 3,950) |
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